上に並んでいるのは、一つの店、商いを受け継いでいる人々。彼らは、ただ「店」という箱モノを受け継いでいるわけではない。その店の創業の思いや歴史、商品に対するこだわり、お客様への心、それらすべてを全身で吸収し、体現している。だからこそ、時代がいくら変わっても、ぶれずに、お客様に満足してもらえる商いを続けているのだ。
核家族化、後継者不足ー。そんな問題が日本中のまちに溢れているように思える現代。しかし、東京には、百年を超える老舗企業が数多く残っている。いまなお、先代の思いを継ぎ、商いを継ぐ老舗があるのだ。そんな老舗に共通するのは、「変えないこだわりと、たゆまぬ変革」。そして、生まれ育ったまちへの貢献。彼らの話を聞くと、それは、「預かる者」としての意識、責任感があるからなのだと感じられる。老舗の社長の多くは、「自分は預かっているだけ」という意識を持っている。次の世代が、魅力を感じ、受け継いでくれるよう、磨きをかけ続けなければならないと。彼らは、今の利益を追うのではなく、未来、次の世代への投資を怠らない。後の代になって花開くように、種を蒔く。
「預かる」ということは商いだけに限ることではない。家族や歴史、日常の仕事や習慣、これらのすべてに過去があり、未来がある。誰もが何かを受け継いでいる。今ここに、生があるということ、それこそが受け継いでいることの証である。私たちはみな、誰かに「たすき」を渡さなくてはならない。渡す時が来るその日まで、受け取ってもらえる「価値あるもの」に育て続けなくてはならない。
二〇一二年、『江戸楽』の幕開けは、「『継ぐ』ということ」。様々な「継ぐ」形を見ていくと、「のれん」がなくても、歴史に名を記す家でなくても、今を生きる全ての人が、「たすき」を持っていることがわかる。時間が経てば、多くの事が風化してしまう。しかし、私たちは、歴史や過去の出来事を受け継ぎ、次の世代へ渡すことができる。年初め、「『継ぐ』ということ」をともに考えてみてほしい。 |